コミュニケーションとスコープ
この記事はPepabo Managers Advent Calendar 2018 19日目の記事です。
さて、このエントリではコミュニケーションの捉え方について考えてみようと思います。
マネジメントに限らず何らか日常生活をおくる上で「コミュニケーション」が発生するわけですが、物事を進める上で必須なものでありながら、得てして齟齬であったり意図せぬ捉え方を生じさせてしまったりと悩みがつきないものです。
では、そういう悩みを少しでも減らすために発生するコミュニケーションを2軸で分解し、「スコープ」を意識してみようというのがこの話です。
どこまで伝わっているんだろう。この話。
では、どういったときにこれを考えるとよいのかなと思うと、コミュニケーションが発生する以下の様なケースを考えてみるとわかりやすいと思います。
- 新しいサービスが世の中にリリースされたとき
- 仕事を一緒に取り組んでいる仲間の中でのコミュニケーションをとるとき
- 友達や家族の中での会話をするとき
- 公共の場で会話をするとき
そこで「スコープ」を考えてみます。 スコープというのは「範囲」の意で以下書いていきます。エンジニアの方であれば「この変数のスコープは」といった使い方もするかと思います。
端的に言うと "届く範囲" です。
何か、1つコミュニケーションが発生するとき、何かを伝えようとしているときに4つのとり方が生じ得ると考えます。
- (1) 自分が明確に把握している, 届く範囲
- (2) 自分が明確に把握している、届かない範囲
- (3) 自分が把握していない、届く範囲
- (4) 自分が把握していない、届かない範囲
この中で、(1),(2) に関しては自身でコントロールできる範囲なので、そこまで意識する必要がない領域です。 特に(2)に関しては、例えば事業であれば「どうやってプロモーションを介せば届けられるか?」という一種の事業課題であるので、その部分について課題解決を図っていけばよいかという明確な課題になったりします。
一方で(3),(4)に関してどうでしょうか。
(4) については、(2)の応用と考えてもよさそうです。(2)と違い難しいところはまだ把握できていないという点になります。 まずは的確な把握を行い、(2)の領域にシフトさせた上で課題として解決する必要があります。
さて、問題は(3)の領域です。 どういうことかというと、把握できていないということは、自らが伝えようと思っていることが予期せぬところに届いていることになります。
もしかするともっと違う伝え方や提案ができたかもしれないけれども、よりよい伝え方に改善ができないという残念な状況になります。 しかも、なかなかそのことに気づくことも難しいということで一番意識しにくい領域といえると思います。
では、どうすればいいんだろう
先程の(3)の領域について、どういった考え方をするとよいかというと、当たり前ではあるのですが「可能な限り俯瞰視すること」。何かを発言しようと思ったり、考えてることを伝えようと思ったときには一時的に全体像を可能な限り把握してみる。
- いまから伝えようとしたことを自分が把握していない人が聞いたときにどう捉えるか
- この言葉の使い方をしたときに異なった捉え方をする人がいないか
- 別の受け取り方をされてしまわないか
全ての人の立場に立って理解をすることは組織が多くなればなるほど難しくはなりますが、可能な限りイマジネーションを膨らませて、ドローンが上空に浮遊していったり、手元に戻ってきたりする様に組織であれば組織に属する人それぞれの顔を浮かべてみるとよいとおもみます。
盲点になりやすいのですが、(3)の領域は得てして近しい(親しい)人が合致しているケースが多い様に思っています。端的にいうと「伝えなくてもわかってくれるだろうと思ったから言わなかった」ケースです。
時々、1 on 1などをするときにお伝えしていることなのですが、「近しい(親しい)人に自分が思っているほど考えていることは届かない*1 」というのが経験則的にももっていて、"普段一緒に生活しているからこのくらいわかるだろう。" とか、 "いままで使ってくれているサービスのユーザ層はこうだからわかってくれるだろう。" とか、"一緒に仕事してるからここはわかってくれるだろう。" などわかってくれるだろうの対象は違えど、どうしても人間は楽な方に舵を切るのでコミュニケーションが雑になって見落としがちになり、そして省略しがちになり。 結果、意図しない形で伝わったり、そもそも伝わらなかったりすることも多いものです。
だからこそ、身近な人こそ感謝を忘れず、丁寧にコミュニケーションをとっていきたいところだと改めて思っています。しばしば忘れる自分への自戒を込めて。
以前、このブログのエントリーに書いた「万物の事象には理由がある」に書いたとおり、日常のコミュニケーションにおいても何かしらの理由があってコミュニケーションが発生し、もし仮にそのコミュニケーションで齟齬が生じたのであればそのコミュニケーションに理由があるはずなので、先に書いた4象限の考え方を取り入れると、よりスムーズなコミュニケーションが取れるのではないかと思っています。
*1:あるいは意図と違う形で伝わってるということも往々にしてある